(4)高齢者の消費者取引被害
Q 私の両親は、故郷で健在ですが、2人とも70歳を超える高齢者です。最近、高齢者を狙った悪質商法がはやっていると聞きましたが、対策はありますか?

A 高齢者の消費者被害は最近増加しており、国民生活センターに平成12〜14年によせられた契約当事者が70歳以上の相談は17万件余になっています。内容としては、健康関連商品や住宅リフォームなどが上位を占めています。多くは訪問販売によるもので健康・経済的不安に付け込む手口です。
 これ対する法的対応としては、以下のようなものがあります。
(1)意思無能力による無効
 これには、老人性健忘症の治療を受けていた高齢者が6000万円以上もの金員を従兄弟に贈与した事案について、精神鑑定が実施され、中程度の痴呆状態にあったものとして、贈与が意思能力がなく無効とされケースがあります。
 また、簡単な買物等についての意思能力はあっても、数百万円以上の買い物については、理解力がないとして意思能力なしと判断されたケースもあります。
(2)錯誤無効、詐欺・強迫を理由とする取消
 これは、事実に錯誤ある場合や詐欺・脅迫行為がある場合に、無効、取消を主張することができます。
(3)公序良俗違反による無効
 老人、その他の者の判断能力の不足に乗じ、訪問販売による契約を締結させた場合は公序良俗違反を理由に無効を主張できます。
(4)消費者契約法による取消
 販売者に不実の告知や断定的判断の提供(必ず儲かる)、不利益事実の不告知(元本割れがありうる)などがあった場合や、家から退去しないなど、困惑させて契約をした場合などでは取り消すことが出来ます。
(5)特定商取引法によるクーリング・オフと取消
 特商法は、2000年に成立した法律で、訪問販売、電話勧誘販売など6類型の取引について行政規制(行政処分、罰則)、民事ルールを規定しています。例えば、訪問販売(営業所等以外の場所において、特定の誘引方法によるときは営業所等において一定の商品・権利・役務の取引を行なうこと)では、@クーリング・オフ制度による解約(8日間以内、ただし、初日算入なので実質7日間以内)、A不実の告知、故意による事実の不告知、威迫行為、目的秘匿呼出勧誘の禁止行為。違反した場合は、業務停止、刑事罰(2年以下の懲役、100万円以下の罰金)、B取消権の付与(不実告知、故意による事実の不告知、断定的判断の提供があった場合)などの保護がされています。なお、クーリング・オフ期間を過ぎていても、法定書面(申込書面、契約書面)が渡されていない場合、不実告知、威迫、困惑によるクーリング・オフの妨害があった場合は、受領の日から、または妨害が解消するまでクーリング・オフが可能ですので直ぐに諦めないでください。
弁護士 野澤 裕昭