(1)痴漢えん罪
Q 満員電車の中で痴漢と間違われてしまいました。被害者という女性から、駅事務室への同行を求められましたが、応ずるべきでしょうか。

A
こんな緊急時に携帯電話で弁護士に相談することはできないでしょうから、あらかじめ準備しておいた方がよいでしょう。身の潔白を明かすため、駅事務室に行くというのが健全な市民の考えかもしれません。しかしそこに陥穽があります。駅事務室は貴方の言い分を聞いてくれるところではなく、警察に連れていくための通過点に過ぎません。やがて警察官が来て署への同行を求められたら、ここでも潔白なあなたは署へ同行するでしょう。しかし警察官は、全く言い分を聞いてくれず犯人と決め付けてきます。そこで手錠・腰縄をつけられ、初めて逮捕されていたことを知ります。令状もないのにどうして?実は女性に連れられ、駅事務室へ同行した段階で「私人による現行犯逮捕」がなされていたこととされます。そして警察では、痴漢したことを認めれば略式罰金処分ですぐに釈放するが、認めない限りいつまでも釈放されません。裁判で言い分を通すことも相当に困難で、無罪を勝ち取るために何百万円も使った、などという例もめずらしくありません。何かが狂っているとしか言いようがありませんが、最初の問いに戻ると、駅事務室へ同行するべきではないでしょう。無実である旨を女性に述べ、名刺を渡すなどして身分を明らかにし、相手にも身分を明らかにすることを求め、場合によっては人権侵害で訴えることを述べ、堂々と立ち去るべきでしょう。
弁護士 今村 核