(1)成年後見
Q 父は75歳で、痴呆がすすんできています。父にはかなり財産があるのですが、最近マスコミで老人が悪徳商法にひっかかるケースが多く報道されており、父も騙されないか心配です。どうすればよいでしょう。

A 精神上の理由等で判断能力が不十分な人を保護するために、成年後見制度が設けられています。判断能力と要保護性のレベルに応じて、「成年後見」「保佐」「補助」に分けられますが、ご質問の場合、お父さんの痴呆の程度が相当重ければ「成年後見」となるでしょう。この制度を利用するためには、親族等が本人の住所地の家庭裁判所に後見開始審判の申立てを行い、精神鑑定等を経て、裁判所が成年後見人を選任します。申立書は家庭裁判所に定型のものが備え付けてあるので、弁護士をつけなくても申立てできます。成年後見人には通常、配偶者や子など親族が選任されますが、身内に適任者がいなければ第三者が選任されることもあります。申立ての際、適任者の候補をあげることができるので、事前に親族でよく話し合っておくとよいでしょう。
 成年後見人は、本人を代理したり、本人が行った法律行為について取消権があるので、本人が騙されて契約を結んでも、後見人が取り消すことが出来ます(日用品の購入等を除く)。また、成年後見人は本人の財産を適正に管理したり、本人の身上を配慮する義務があります(保佐人、補助人の場合は権限が多少異なります)。
 平成12年に施行されたこの「成年後見制度」は、以前の「禁治産者」のように戸籍に記載されることはなく、利用しやすい制度となっています。
弁護士 雪竹 奈緒