| |||||||
![]() |
|||||
2007 夏季号〈VOL.43〉 |
|||||
■「日本国憲法」施行60年に思う |
|||||
日本国憲法は、今年、施行満60年という還暦の年を迎えた。還暦は、人間の場合には祝福されるが、日本国憲法は、残念ながら、憲法尊重擁護の義務を負っている(第99条)総理大臣をはじめとする国務大臣や与党の国会議員らから、「早く死ね」と言われているに等しい状態にある。 |
|||||
| 清水 洋二 | |||||
| ▲目次に戻る | |||||
■東南アジアの人達から見た憲法9条 |
|||||
| 3月18日から24日まで、自由法曹団と国際法律家協会の共催で、マレーシア、インドネシアを訪問してきました。マレーシアでは、戦略国際問題研究所(ISIS)と「JUST」(International Movement for a Just World)というNGO、インドネシアでは国家人権委員会を訪問し、憲法9条の改憲問題等について意見交換をしてきました。 いずれの訪問先からも、憲法9条の平和主義の理念に対する共感が示され、戦前の日本のアジア諸国への侵略の経験から、憲法9条の存在が、アジア諸国に対する日本の脅威をなくし、地域の平和的安定に重要な役割を担っていること、逆に日本が憲法9条を変えることは、日本の軍事大国化として捉えられ、近隣諸国との間で緊張をもたらし、地域における軍拡競争を招く恐れがあるといった懸念が示されました。 今回のマレーシア・インドネシア訪問を通じて、憲法9条の改憲問題が、単に国内問題にとどまるものではなく、国際関係に大きな影響を与えるものであり、今後経済的にも人の交流においても結び付きが強まる東アジアの国々との関係において、日本が憲法9条を変えることが賢明な選択なのかどうかが問われていると思いました。 マレーシアISISの所長さんが、個人的な意見と断った上で、安倍首相は「美しい国」をスローガンにしているが、憲法9条を変えることで「美しい国」になるとは思えない、と言っていたのが印象的でした。 |
|||||
| 宮坂 浩 | |||||
| ▲目次に戻る | |||||
■ワーキングプアと生存権 | |||||
| 「労働国会」「格差国会」と言われながらこれらの論議は低調なまま、今年の通常国会は終わった。安倍内閣は「再チャレンジ」を掲げるものの、実効ある政策を実行しないばかりか、政策決定の中核を占める経済財政諮問会議や規制改革会議の労働関係を、「解雇が自由でないから非正規労働者が増え、格差が拡大する」とマジメに主張する「学者」達に丸投げした。 シプラーが数年にわたる膨大な聞取りをまとめて米国で「ワーキングプア」を発表した02年、日本では小泉総理が改革なくして成長なしとブチ上げ、規制改革が加速した。そして今日、ワーキングプアは最早普通名詞である。時給千円で年2000時間(法定時間)働いても年収200万円、しかも、パート、派遣など非正規雇用ではいつ首を切られるやもしれず、権利主張はおろか文句も言えず、悲惨な労働と生活の連鎖から抜け出せない。 シプラーは、食える賃金の職が継続することは必要条件であるが、十分条件ではないことを指摘する。憲法前文は、全世界の国民が欠乏から免れる権利を有すること(ルーズベルトは35年に同旨を演説)を確認して、健康で文化的な最低限度の生活を営む生存権を規定した。8時間まじめに働けば人間らしく暮らせる社会と制度を整備するのは国家の責務であり、これを作らせるのは国民の声と行動である。 |
|||||
| 鴨田 哲郎 | |||||
| ▲目次に戻る | |||||
■施行60年後の男女の働き方のかたち 〜07年4月改正均等法施行〜 | |||||
| 弁護士なりたての頃、女子大で史学を専攻した母に「女性の労働問題をやってほしいと思う」と言われた。女性だから女性問題でもやれと片付けられるようだと不満顔をすると「あなたにもわかる時がくる」と告げられた。7年目、そして1歳児を抱えて働く中で、均等法関連の講演にも実感を込められるようになった。最近同法関連の依頼が続くのは同法が昨年再び改正され、今年4月に施行されたからだ。 主な改正内容は次のとおり。@男性であることを理由とする差別も禁止とされA性差別禁止の場面として降格・雇用形態変更・退職勧奨・労働契約更新などを追加的に明記B管理職を男性のみに、一般職を女性のみとするなど直接男女を差別する形式を取らないというような、「間接差別」も男女差別として禁止するとの規定が一応設けられた。C妊娠・出産・産休取得を理由とする「不利益取扱い」の禁止として、既存の解雇のほか、契約更新拒否・パートへの変更強要・妊娠を理由に派遣先が派遣元に派遣労働者の交代を求めることなども禁止の対象となり、妊娠中・産後1年以内の解雇の無効推定規定も創設Dセクハラに係る使用者の義務も配慮義務から措置義務に格上げ強化されE実効確保措置としての過料の罰則規定が創設される、などである。前進は見られるが、間接差別の定義・内容は限定され、パート・派遣など実質の差別問題も依然解消されぬまま、次期の課題として残されることとなった。 |
|||||
| 圷 由美子 | |||||
| ▲目次に戻る | |||||
■欠陥だらけの「カラクリ」改憲国民投票法が成立!! | |||||
| 1. 自民・公明の与党は、5月14日、改憲国民投票法を強引に成立させました。しかし、その中身は、国民の意思を正確に反映させない重大な欠陥法です。 2. たとえば、この法律には、最低投票率の定めがありません。有効投票数の過半数さえあれば改憲できる仕組みになっています。50%前後の投票率しかなかった場合、有権者の2割台という「ごく少数の意見」で改憲が成立してしまいます。国民の8割は最低投票率「必要」としていました(4/17朝日)。与党はこれを無視して何ら修正もせず採決を強行したのです。 3. このほか、有料意見広告が野放し、公務員や教育者の運動が制限される、など多くの問題点がありました。どれも改憲をやりやすくするための「カラクリ」です。参議院では、これらの問題点を指摘する18項目もの付帯決議がなされました。審議は「生煮え」だったのです。にもかかわらず、強行したのは「戦後レジームからの脱却」「任期中に憲法を変える」と繰り返す安倍首相の強い意向によるものでした。 4. しかし、安倍首相や与党が暴走すればするほど、改憲に賛成する意見は減少し、9条守れの声が大きくなっています(4/6読売など)。改憲阻止はこれからが本番。この声をさらに太く大きくし、憲法を守り抜きたいと思っています。 |
|||||
| 今村 幸次郎 | |||||
| ▲目次に戻る | |||||
|
|||||
|
|||||
|
|||||
|
|||||
|
|||||
|
|||||
|
|||||
| ▲目次に戻る | |||||
■今、教育現場が危ない |
|||||
| 「日の丸君が代についてどう考えるかは、キミの内心の自由だ。だから、起立するかしないか、歌うか歌わないかは自分で決めていいんだよ。」この言葉、どこか間違っているだろうか? 今国会で成立した教育3法によれば、教育委員会が「指導不適切」と判断した教員には研修を受けさせ、その結果「改善」したと認められなければ、10年ごとの教員免許更新講習が受けられず、教員免許が失効してしまう可能性がある。 現在、都立高校では上のセリフは「不適切な指導」とされている。教育3法が成立したことによって、生徒にこのセリフを言っただけで、教師を続けられなくなる時代が来るかもしれない。 10年ごとの教員免許更新制度…更新されるか不安で何も言えなくなる。主幹という中間管理職が学校にやってきた…ぜんぶ校長・副校長・主幹が決めてしまい、職員会議では何も話せない。教育内容は文部科学省が決めて指導・命令される…逆らえない。成果主義、人事考課、学校評価…先生はお互いを牽制していて子どもを見ていない。忙しい。子どもと話せない。なぜ、教育目標が「愛国心」なんだ?これで本当に教育がよくなると、誰が信じているのだろう? …「もう、がんばれないよ。」そう言って、またひとり、私の大好きな先生が教師をやめた。 |
|||||
| 新村 響子 | |||||
| ▲目次に戻る | |||||
■M&Aに歯止めは必要ないのか? − 実態から目をそむけた日本IBM会社分割事件・横浜地裁不当判決 |
|||||
| 日本IBMのHDD(ハードディスク)部門が会社分割され、株式が日立に売却されたことに伴い、HDD部門の社員約800人が同意もなく分割先である日立の子会社に移籍(承継)させられた。そこで社員らが「同意もなく一方的に日立の子会社に移籍(承継)させられたのは不当だ」として、日本IBMの社員としての地位確認等を求めていた裁判で、横浜地裁は原告らの訴えを全面的に退けた。 会社分割に当たっては、移籍(承継)対象の労働者を保護するため、労働契約承継法7条や旧商法附則5条が会社に社員たちとの説明・協議を義務付けている。本件では、社員から「現在赤字のHDD部門をどうやって黒字にできるのか?」「将来人員削減の計画はあるのか?」「給料など労働条件の引下げはあるのか?」などの切実な質問が出されても、会社は「機密事項なのでお答えできない」「日立のことはお答えする立場にない」等々、およそ納得できる説明・協議をしなかった。ところが判決は、こうしたずさん、おざなりな説明・協議の実態から目をそむけ、「会社の説明・協議に義務違反はない」としてしまったのである。 実際、日本IBMからエプソンに売却された半導体部門は事業継続ができず、今年3月で会社は解散し多くの失業者を出している。企業の論理優先のM&Aを野放しにせず、労働者の雇用と権利を守る視点からの歯止めが今、求められている。 |
|||||
| 山内 一浩 | |||||
| ▲目次に戻る | |||||
■労働審判活用のお勧め |
|||||
| 『労働審判』がお勧めである。この制度は、昨年の4月から全国の地方裁判所で新たに始まった裁判類似の制度であり、日本の雇用社会において激増する個別労使紛争(例えば、解雇や賃金カットなどの使用者と労働者個人との民事紛争)を迅速かつ適正に解決するため、労使団体出身の2人の労働審判員と、裁判官(労働審判官)が3人で審理をして司法判断を下し、調停を試みるという全く新しい司法制度である。 施行1年を経て、全国の利用状況は月平均約100件、1年間で1163件の申立があった。この制度の特徴は、@紛争解決の速さとA終局解決率の高さである。労働審判の審理期間(申立から終局日まで)は、全国平均で72.9日(約2ヵ月半)、東京地裁はそれより短く65.9日(約2ヵ月6日)であり、しかも、7割の事件が調停成立により解決しているのである。 労働事件の種類としては、従来どおり、解雇の事件と賃金未払いの事件が多いのだが、それだけでなく、様々な種類の事件が果敢に申し立てられている。例えば、いじめ・パワハラの上解雇となった事件や降格・配転・減給の事件、育児休業請求事件、病気休職後に復職を求めた事件などなどである。労使紛争の解決手段として、「労働審判」の利用を検討してみてはいかがであろうか。 |
|||||
| 棗 一郎 | |||||
| ▲目次に戻る | |||||
〜法律相談〜高齢者の消費者取引被害 |
|||||
Q. 私の両親は、故郷で健在ですが、2人とも70歳を超える高齢者です。最近、高齢者を狙った悪質商法がはやっていると聞きましたが、対策はありますか? A. 高齢者の消費者被害は最近増加しており、国民生活センターに平成12〜14年によせられた契約当事者が70歳以上の相談は17万件余になっています。内容としては、健康関連商品や住宅リフォームなどが上位を占めています。多くは訪問販売によるもので健康・経済的不安に付け込む手口です。 これ対する法的対応としては、以下のようなものがあります。 (1)意思無能力による無効 これには、老人性健忘症の治療を受けていた高齢者が6000万円以上もの金員を従兄弟に贈与した事案について、精神鑑定が実施され、中程度の痴呆状態にあったものとして、贈与が意思能力がなく無効とされケースがあります。 また、簡単な買物等についての意思能力はあっても、数百万円以上の買い物については、理解力がないとして意思能力なしと判断されたケースもあります。 (2)錯誤無効、詐欺・強迫を理由とする取消 これは、事実に錯誤ある場合や詐欺・脅迫行為がある場合に、無効、取消を主張することができます。 (3)公序良俗違反による無効 老人、その他の者の判断能力の不足に乗じ、訪問販売による契約を締結させた場合は公序良俗違反を理由に無効を主張できます。 (4)消費者契約法による取消 販売者に不実の告知や断定的判断の提供(必ず儲かる)、不利益事実の不告知(元本割れがありうる)などがあった場合や、家から退去しないなど、困惑させて契約をした場合などでは取り消すことが出来ます。 (5)特定商取引法によるクーリング・オフと取消 特商法は、2000年に成立した法律で、訪問販売、電話勧誘販売など6類型の取引について行政規制(行政処分、罰則)、民事ルールを規定しています。例えば、訪問販売(営業所等以外の場所において、特定の誘引方法によるときは営業所等において一定の商品・権利・役務の取引を行なうこと)では、@クーリング・オフ制度による解約(8日間以内、ただし、初日算入なので実質7日間以内)、A不実の告知、故意による事実の不告知、威迫行為、目的秘匿呼出勧誘の禁止行為。違反した場合は、業務停止、刑事罰(2年以下の懲役、100万円以下の罰金)、B取消権の付与(不実告知、故意による事実の不告知、断定的判断の提供があった場合)などの保護がされています。なお、クーリング・オフ期間を過ぎていても、法定書面(申込書面、契約書面)が渡されていない場合、不実告知、威迫、困惑によるクーリング・オフの妨害があった場合は、受領の日から、または妨害が解消するまでクーリング・オフが可能ですので直ぐに諦めないでください。 |
|||||
| 野澤 裕昭 | |||||
| ▲目次に戻る | |||||
■ぶらりらくちょう − 楽しいことが有る街 |
|||||
| 当事務所のある有楽町の地名の由来といえば、織田信長の弟の織田有楽斎(長益)に由来するという説が一番有名です(本誌vol.36)。他の説としては、日比谷入江と呼ばれる海が新橋の方から皇居近辺まで入り込んでいたことから、今の有楽町近辺を「浦原」「浦ヶ原」などと呼び、この「う」「ら」が「有」「楽」と当て字されて有楽町となったというものもあります。 ちなみに、私の住む埼玉県所沢市にも「有楽町」という地名があります。他にも栃木、山口、愛知、三重、岐阜、福井などにも「有楽町」はあるようです。これだけあると由来は様々でしょうが、「有楽町」という地名には、そこに住む人の「楽しいことが有るといいなぁ」という願いも込められているような気がしてきます。 |
|||||
| 佐々木 亮 | |||||
| ▲目次に戻る | |||||
■旬報法律セミナー − 裁判員制度と労働審判制度 |
|||||
市民の方に興味・関心のある法律問題をわかりやすくお話しする毎年恒例のJUNPOH法律セミナーが、2月17日、有楽町朝日スクエアで行われました。 |
|||||
| 梅田 和尊 | |||||
| ▲目次に戻る | |||||
■入所・退所のお知らせ |
|||||
| 岡 友美さんが、4月1日より事務局として勤務されています。 事務局の井上紘子さんが、4月20日付で退所されました。 |
|||||
| ▲目次に戻る | |||||
提案、質疑応答、討論、採決。民主主義は面倒な手続きです。 |
|||||
| Topへ | |||||
| CopyRight(c) 2006 Junpoh Law Office, All rights reserved. |
