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2005年 夏季号 <Vol.39> |
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■一人一人の力を合わせて |
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| 自衛隊官舎にイラク派兵反対のビラをまく。逮捕される。公務員がビラをまく。逮捕される。普通のマンションにビラをまく。逮捕される。ビラまきは犯罪なのか。逮捕されて当たり前なのだろうか。表現の自由という当たり前でとても大切な自由が危うい。他にもある。卒業式、君が代を歌わない教師が次々処分される。生徒が歌わなくても処分される。歌う以外、選択肢がない。選択肢がないということは自由ではない。他方、自由に憲法を変えたがる人もいる。憲法を変えよう、9条を変えよう、国際貢献、海外派兵、国防の義務。そして、戦争。望まない死。目に見えない大きな力が時代を暗く黒い方向へと重く流し出す。変だ。こう感じた時、何かしなくては。流れに抗う一石を。難しく考える必要はないのだろうと思う。大げさなことをしなくてもいいのだろうと思う。一人一人の力を合わせて。既に無数の石が投じられ始めている。 | ||||
| 佐々木 亮 | ||||
■指導という名の「強制」 |
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| 東京都教育委員会通達日く、「国旗は舞台壇上正面に向かって左、都旗にあっては右に掲揚する」「式典の司会者が、『国歌斉唱』と発声し、起立を促す」「教職員は、会場の指定された席で国旗に向かって起立し、国歌を斉唱する」「国歌斉唱は、ピアノ伴奏等により行う」(2003.10.23)。 これを守らない校長は業務命令違反となります。そして卒業式で君が代に不起立だった教員は処分を受けました。教員たちが、東京都教育委員会を相手に裁判を起こしたのが「東京ココロ訴訟」です。 起立しなかったり歌わないこどもたちは、繰り返し繰り返し、起立するまで、歌うまで、そして国旗国歌を敬うまで指導されます。これを東京都教育委員会は、強制でなく指導であると、強弁しています(6月2日巽公一前指導企画課長証言)。教師たちは日々子どもらに、「一人ひとりがかけがえのない命であり、その心も身体も、尊重されるものであること」を語ります。ところが集大成の卒業式の場で、教員は自らの思想良心の自由が許されない現実を見せつけられ、子どもが心にそわずとも歌うべきだと指導することを強制されているのです。「思想及び良心の自由はこれを侵してはならない」(憲法19条)という権利を絶対に実現させなければなりません。 |
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| 森 真子 | ||||
■民事再生中でも解雇は無効 〜山田紡績整理解雇事件〜 |
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| 被告の山田紡績株式会社は、紡績業が盛んな地域である愛知県半田市にある紡績会社で、不動産賃貸業も行っていたのですが、それまで良好な関係を保ってきた労働組合に一言の相談もなく、突如民事再生の申立をなし、表向きには、紡績業は存続すると公言していたのが、裏では全面的に廃業して不動産賃貸業に転換するということを決め、民事再生手続を悪用して紡績工場を閉鎖し、正社員と臨時・パート従業員ほぼ全員104名を解雇したという整理解雇の事件です。解雇された労働者の人数が大変多く、寮や社宅を唐突に追い出され、生活の打撃も著しいものでした。 名古屋地裁平成17年2月23日判決は、民事再生申立前の8ヵ月の紡績部門の赤字はわずか86万円程度であったし、紡績業の将来性がないとまではいえず、相当程度の人員削減をする必要性を超え、紡績業部門のほぼ全員を直ちに解雇する必要性があったとはたやすく認められないと判断しました。さらにまとめとして、本件解雇は「これまで裁判例等により形成されてきた整理解雇法理をないがしろにするものであって、極めて乱暴な解雇であると言わざるを得ず、解雇権の濫用にあたり無効というべきである」と断定しました。 この判決が確認したのは、たとえ会社の倒産という非常事態においても、わが国の労働者を保護する法律や判例法理などの社会的なルールは、厳に守らなければならないということです。 |
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| 棗 一郎 | ||||
■憲法「改正」をめぐる危険な動き | ||||
| 1.自民党は今年11月、民主党は来年中の改憲案取りまとめに向けて議論を本格化しています。衆参両院の憲法調査会は、憲法「改正」の方向を打ち出した最終報告書を公表しました。さらに与党は、改憲手続きに関する国民投票法案を、今年秋の臨時国会に提出する方針とされています。
2.憲法「改正」に向けた動きが着々と進められる一方で、昨年以来、自衛隊のイラク派兵に反対するビラや、平和憲法擁護を公約とする政党のビラ等を配布する行為に対して、住居侵入罪や国家公務員法違反にあたるとして逮捕・起訴する事件が相次いでいます。 3.改憲推進派の最大の狙いは言うまでもなく9条「改正」にあります。自衛隊を憲法に明記して、海外での武力行使を可能にするのが主眼です。ポスティング(ビラ配布)に対する起訴等は、この「狙い」の実現にとって障害となる言論や表現を弾圧しようとするものにほかなりません。力ずくで平和憲法を破壊し、改憲を押し進めようとする策動です。 4.今、準備されている国民投票法案も、国民の口を封じ、目と耳をふさぐための弾圧法規です。公務員・教育者の運動規制、投票予想の公表禁止、マスコミ利用の制限等の規制を多く含み、違反行為に対しては刑罰が用意されています。言論・表現を弾圧して「戦争する国」にする―この道は「いつか来た道」です。 |
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| 今村 幸次郎 | ||||
■役に立つ、労働契約法を作ろう | ||||
| せっかく予定を立てた休日に、出勤を命じられたら断れないのか? 単身赴任となってしまう転勤命令にはどう対応したらいいの? 募集広告には“常用”って書いてあったのに、半年契約なんておかしくない? こんな、職場でよくある疑問に労働基準法は何も答えてくれません。答えは判例の中にあります。判例集や労働法の本を読まないと答えが判らないのでは不便です。しかも判例は事実が違えば結論も違います。貴方の立場とソックリという判例はまず、ないでしょう。 一番よい方法は、会社生活の入り口から出口までに起こりそうな問題全般について法律でキチンと答えを書いてもらうことです。これを労働契約法と呼びます。労働団体や法律家は以前から、労働契約法を作れ、と運動してきました。 国会でも同様の指摘を受け、厚生労働省は学者さんらを集めて研究会を作り、今年4月、中間報告が出ました。しかし、その内容は、就業規則の効力の強化、労使委員会の活用によって労使自治を促すとしつつ、その前提条件の整備については何もふれない、不当な解雇でも裁判所が退職を命じうる、会社は労働条件を一方的に変更できるなど、普通の労働者の疑問にも期待にも応えるものとはなっていません。 労働契約法の論議はこれから本格化します。ぜひ役に立つ労働契約法を実現させましょう。 |
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| 鴨田 哲郎 | ||||
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■利便生?ゆとり? 〜私たちの生き方と労働問題〜 |
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| 5月7日から15日まで、日本労働弁護団の英独調査に参加した。 ロンドンでは、日本で来年より導入される労働審判制の参考となった雇用審判所の訪問や、組合や弁護士からオプト・アウト制度(労働者の承諾により労働時間の規制が適用されなくなる)の話を伺った。オプト・アウト制度は労働者が自由に選択できる建前だが、実際には同意を強制されるため、EU諸国の批判が強い。 ベルリンとフランクフルトでは裁判官や弁護士等と面会し、ドイツの解雇法制等を調査した。解雇無効でも金銭支払いにより労働関係を解消させる制度につき、日本ではドイツにならって使用者側が導入を推進している。しかしドイツではこの制度は、実際にはほとんど使われていないという。解雇無効の場合の使用者側への復職受け入れ強制など、ドイツの法制度に学ぶべき点は多い。 かつて、欧州では土日や夜は店が閉まるといわれていたが、ロンドンでは夜遅くまで開いているスーパーがあり、ドイツでさえ土曜日も営業している店が多かった。一方でこれらは必ず加重労働や労働条件悪化につながる。 利便性をとるか、時間的にゆとりのある生活を選ぶか。労働問題は、人間の生き方そのものにかかわっている。 |
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| 雪竹 奈緒 | ||||
■サラリーマンの残業手当が消える?! 〜日本労働弁護団アメリカ調査(5月9日〜17日)報告〜 |
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| 『「残業代ゼロ」一般社員も 労働時間重視を転換 厚労省方針』(4月28日日経朝刊1面)。この記事にお気づきでしたか。厚労省は再来年の改正案提出を目指す、とあります。 この改正の元ネタともいうべき制度が、米国の「ホワイトカラーイグゼンプション」。ホワイトカラーについて一定要件さえ充たせば広く残業手当支払対象からイグゼンプト(除外)してしまおうというものです。まさに「輸入」されようとするこの制度の調査が、今回の弁護団の渡米目的でした。 この制度は昨年ブッシュ政権の下改正され、更にその除外者が広まったといいます。今回再認識したことは、やはり米国と日本とは全く違うということ。連邦法には、日本と違い、残業の上限規制や休暇に関する規制がありません。また、長時間残業による健康被害や過労死は問題とされず、弁護士ですら、「なぜ死ぬまで働くのか?日本では辞める自由はないのか」などと目を丸くするばかり。自分のために働き、過酷な職場からは転職すればいいという風土の米国だからこそ、健康を守るために労働時間を規制するという発想がないのでした。 今、ホワイトカラー全般の賃金カットをねらってこの「便利な制度」が輸入されようとしています。法律もその文化的土壌から生じる生成物。全く風土の違う制度の下に労働者を「植え替えた」場合どうなるか…。 別れ際、どうかわれわれの制度をまねないでほしい、と言った労働者側弁護士の言葉が今も胸に残ります。夫の給与明細から残業手当が消えることのないよう頑張らねば。 |
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| 圷 由美子 | ||||
■「旬報9条の会」から |
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| 衆議院憲法調査会が4月、最終報告書を提出しました。9条を改正して自衛隊を「正真正銘の軍隊」とし、海外派兵を認める内容です。憲法改正の唯一の提案機関である国会が憲法に係る文書をまとめた意味は重大で、「9条改正の方向性が確保された」と大きく評価しています。「戦争はしない」「戦力はもたない」の9条を葬り去ろうというのですが、同時に「国民的議論が巻き起こせればもっとよかった」と反省の弁も。それはそうでしょう。永田町では改憲派が多数でも、主権者である国民の間にアメリカの戦争に自衛隊を派兵させる要求などないからです。 現に、大江健三郎氏ら著名知識人9氏の呼びかけに応えた「9条の会」が各地で1900余も結成され、“9条改悪反対”の声が急速に広がっています。「旬報9条の会」も会員が500名を超えるまでに拡大。2月5日に講演会『なぜ今、憲法第9条「改正」なのか』(講師小森陽一東大教授)を開き、ニュースを5月まで3号発行。“憲法9条をいかして平和な世界を”のノボリも作り、メーデーや憲法記念集会で披露しました。「戦争のない平和な世界」を作っていくためぜひご入会ください。 |
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| 島田 修一 | ||||
〜法律相談〜 過剰リフォーム |
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| Q. 工事業者が訪ねてきて「お宅の家は老朽化が進んでいるし湿気がたまりやすいので耐震化と湿気防止のリフォームをした方がいい」と勧めるので、おまかせしますと頼んでしまいました。工事が終ってみるとリフォームにしては法外な工事代金を請求されました。念のため専門家に見てもらったところ、不必要な耐震金具が過剰に使われ、床下や屋根裏の換気扇は個数が多すぎると言われました。代金は払わなければいけないのでしょうか。 | ||||
| A. どのような金具をどれだけ使うかとか、換気扇を何個取り付けるかといったことを契約できちんと特定せず、ただ大雑把におまかせしますと頼んだ場合は、施工された内容どおりの契約が本当に成立したか疑わしいといえます。金額を明示し詳細のわかる見積書や契約書が作られていなければそもそも契約の不成立を主張し得る場合もあるでしょう。また一般に工事を依頼する人は耐震や湿気除去にとって効果のない過剰な工事に高額の費用をかける意思はないでしょうから、民法九五条の錯誤による契約の無効を主張できる場合もあるでしょう。業者が言葉巧みに不必要に過剰な工事をすすめている場合は、詐欺に当たるとして民法九六条により契約を取消すことができるでしょう。事業者が重要事項につき事実と異なることを告げた場台に消費者が契約を取消すことを認めた消費者契約法(四条)が適用になる場合もあるでしょう。いずれにしても契約の不成立や無効あるいは取消しが主張できる場合は代金の支払を拒否できます。その場合既に払ったものがあれば、その返還を請求できます。 | ||||
| 大熊 政一 | ||||
■ぶらりらくちょう − 三信ビルが消える |
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| 老朽化のため、近く解体される。有楽町に事務所を移転以来、誰しもが親しんできたビルだけに惜別の情もひとしおだ。 1929年に着工し、1930年6月に完成というから満75歳。当時の建築界は、明治後ヨーロッパから直移入の潮流が成熟する一方、そこからの脱却を志向する新しい潮流があり、設計者(松井貴太郎氏)は後者の旗頭であったとか。そのため、ビルの内外に、その特徴が顕著で、建築学史上極めて貴重な現存建物として専門家の注目を集めてきたそうです。 ぜひ見納めを! 私が選ぶポイントは、@重厚な外観、A弧を描くエレベーターホール、B吹抜のア一ケード、C1階路床の自然石(化石がいっぱいかも)、D地下商店街、E地盤沈下で補修したと思われる目障りな外階段。 |
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| 仲田 晋 | ||||
■「靖国」を正確な論理で解く 〜『靖国問題』高橋哲哉著(ちくま新書) |
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| 「政冷経熱」と言われるように、日本の対中貿易は飛躍的に高まっているのに、政治面では日中関係は国交回復後最悪の状態が続いています。その最大の原因は、小泉首相の靖国神社参拝とそれに関連した小泉首相の発言に中国側が反発したことにあります。 著者は、この本の冒頭で、「靖国」という問題がどのような問題であるのかを私たちに問うていますが、恥ずかしい話、私もこの本を読んで初めて認識、理解したことが多々ありました。 本の構成は、@感情の問題、A歴史認識の問題、B宗教の問題、C文化の問題、D国立追悼施設の問題となっていますが、哲学者である著者は、これらの問題を論理的に明らかにし、私たちが靖国問題を考える筋道を与えてくれています。関心のある方はぜひご一読ください。。 |
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| 宮坂 浩 | ||||
■旬報法律事務所 個人情報保護の方針について |
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| 旬報法律事務所は、個人情報の保護に関して以下のとおりの方針を定め、個人情報の保護に努めることを宣言します。 ★法令の遵守 旬報法律事務所は、個人情報の保護に関する法律その他の関係法令等を遵守するとともに、個人情報の安全・適正な管理を実施し、継続的にその改善に努めます。 ★利用目的 旬報法律事務所は、依頼者の方の個人情報を旬報法律事務所の事務所ニュースや各種ご案内文書などの送付を含む業務の遂行上必要な限りにおいて、利用致します。 ★開示・訂正等 依頼者ご本人が個人情報の開示・訂正・利用停止等を希望される場合、旬報法律事務所は、ご本人であることを確認させていただいた上で、法令に基づく合理的な範囲内において、速やかに対応するように努めます。 |
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| 梅田 和尊 | ||||
| 国民の7割が憲法を読んだことがない。この状況では「60年前にできた今の憲法は時代にあわない」と言われれば、「そうなんだ」と納得してしまうのも不思議ではない。憲法の価値がわからなければ「守ろう」とも思わないだろう。日本国憲法の価値、そして生命カは、憲法そのもののなかにある。まずは、憲法を読んでみよう。(堀江英文) | ||||
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