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2005年 新年号 <Vol.38> |
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■終戦60周年を迎えて |
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| 終戦から30年後、戦後世代の親から生まれた私にとって「戦争」は過去の歴史に過ぎませんでした。戦時中の話の悲惨さに涙することはあっても、それが悲惨であればあるほど、かえって自分から程遠いもの、自分の身には起こりえないものとしか思えませんでした。 その平和が今、現実に危機に瀕しています。憲法、教育基本法を改正して日本を「戦争する国」へ、日本国民を「戦争する国民」へと作り変える動きが具体化してきています。 平和とは、戦争のない穏やかな世の中であること。戦争とは、国家により人が人を殺すことを強制されることであり、その強制がある以上、たとえ国内で「戦争」をしてなくても、平和であるとはいえません。武力行使を許された自衛隊の海外派兵により、もう日本の平和は壊されかけているといっても過言ではないのです。 終戦60周年。私たちの世代が「平和」を当然のこととして生きてくることの出来た幸せを、今後生まれてくるすべての子どもたちに引き継ぐために、何をすればよいのか。改めて考えてみませんか。 |
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| 雪竹 奈緒 | ||||
■「旬報9条の会」結成 |
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| 今も、男、女、子供を問わず尊い命が無残に奪われているイラク。遠い国の「戦争」だからといって目をつむることができない燦然たる事態が作り出されています。しかも、「戦争のない世界」をめざした9条を持つこの国の自衛隊は、「非戦闘地域」と称してイラクの米軍の支援を続けています。そればかりではありません。小泉政権は、自衛隊が「戦闘地域」で米軍と共同行動できるよう9条「改正」を迫っています。集団的自衛権の行使がそれです。一方でイラク派兵、他方で9条改悪。アジアの人々を大量殺戮した反省に立ち、非軍事的手段で平和に貢献するとした戦後の公約の踏みにじりを、このまま許してよいのでしょうか。 許すことはできないとして、秋、私たち所員全員は標記の会を作りました。この会は大江健三郎氏ら著名文化人9氏が結成された「9条の会」の呼びかけ、この国を2度と「戦争する国」にしてはならない、に応えたものです。皆さんにも広く呼びかけた結果、11月末まで 270名を超える人々に加入していただきました。「旬報9条の会」は今後、9条をめぐる動きを皆さんにお伝えし、平和を語り合う場としていきます。今年2月5日には、小森陽一東大教授をお招きし、『今、なぜ9条「改正」なのか』の講演会を予定していますので、是非ともご参加ください。人類の金字塔である9条を、将来の世代にも引き継いでいきましょう。 |
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| 島田 修一 | ||||
■真実が勝利するとき 〜青梅信金事件〜 |
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| 2004年7月28日、さいたま地方裁判所川越支部で青梅信金冤罪事件の無罪が言い渡されました。裁判所が「被告人は無罪」と判決文を読み上げた瞬間、傍聴席の張り詰めた緊張が一気に溶け、全員がようやく呼吸を始めたような音がしました。これは信用金庫内で公金の紛失がおこり、パート職員であったMさんが、当日窓口係りをしていて紛失した公金処理の一部を行っていたことから、横領犯人とされた事件です。被害額はたった15万5650円。しかし、Mさんは「私は何も悪い事はしていない」と一貫して無罪を主張し、長い勾留・裁判を夫や支援の支えを得て頑張り抜きました。本件は直接証拠は一つもなく、検察官が間接証拠だけで、被告人の犯罪を立証しようとした事件でした。裁判所は、弁護側が示した他犯人の可能性を認め、「疑わしきは被告人の利益に」という大原則にのっとった無罪判決を言い渡しました。ですから、これは一つの冤罪がはらされたというだけでなく、刑事事実認定のあるべき姿をしめした事件だったのです。 身に覚えのない人が潔白だと宣言される一それは当たり前のことです。しかし当たり前のことが通らず泣いている人がいかに多いことか。一つでも多くの真実を勝利させること、当たり前が通る信頼できる社会を求めること、それが私たち弁護士の仕事なのだと、心地よい疲労感を覚えました。 |
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| 森 真子 | ||||
■選手会のストに学ぼう | ||||
| 昨年の労働界の最大のトピックはプロ野球労組のストライキの成功でしょう。春闘の度に電車が止まっていた頃を懐しく思った方も多いのではないでしょうか。選手会を組合と認めず、交渉を頑なに拒否し続けたオーナー達を交渉の席に着かせ、12球団を維持させた原動力は、道理と世論を背景にしたストの威力です。
「職業の種類を問わず、賃金等の収入によって生活する者」はどんな高給取りでも労働組合を作れます。そして、労働条件に係わる問題についてはストを実施でき、正当なストに対して損害賠償を請求することは許されません。この労働組合法のイロハを強権で踏みにじろうとしたオーナー達は名だたる企業の経営者でもあります。図らずも日本の経営者たちの前近代的感覚が示されました。また、新規参入条件としてオーナー達は経営の継続性を挙げますが、ダイエーや西武にそんなことを言う資格はあったのでしょうか。 このストは、たかが選手とうそぶき改憲の旗を振る渡辺・読売と規制改革の旗を振りながら新球団を神戸から追い出した宮内・オリックスの独善を糺すものでもありました。 一人ひとりは小さく弱くても皆でまとまり道理ある要求に共感を得れば大きな成果を産むことができる、それを憲法は保障していることを改めて教えてくれた選手会のストから元気をもらいましょう。 |
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| 鴨田 哲郎 | ||||
■国家公務員がビラをまいたら犯罪? | ||||
| 04年3月、社会保険庁の職員A氏が03年の衆院選の際に、政党のビラをまいたことで逮捕、起訴されるという事件が起きました。逮捕、起訴した側の警察や検察の言い分は、「公務の公正が害された」とのこと。なるほど、公務員が各自の支持政党によって公務を怠ったり、国民を不平等に扱ったりしたら大変です。これはいけません。しかし、A氏は、休日を利用して、勤務場所から離れた自宅周辺のマンションなどの集合ポストに、公務とは全く無関係にビラをまいただけでした。周りを歩いている人はもちろん、マンションの住人も、郵便受けに投函されたビラをまいた人が国家公務員のA氏だとは知る余地もなく、公務の公正は害されようがありません。さらに、驚くことに警察は、A氏を何週間にもわたり十名前後の警察官で尾行し、その行動をビデオカメラで撮影(盗撮)していたことが発覚しました。これではプライバシーも何もあったものではありません。 現在、裁判では、A氏の行為は憲法21条で認められた表現の自由の一つでこれを犯罪とすることは憲法違反であることと、何週間も一市民の行動を盗撮する捜査は違法であるとして、公訴棄却もしくはA氏は無罪であるとして争っています。表現の自由は民主主義にとって最も大切な権利です。これを守るため、私も弁護団の一員として奮闘しています。 |
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| 佐々木 亮 | ||||
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■動産・債権譲渡登記制度 |
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| 「え!動産の譲渡登記などあり?」「債権者を特定しないで将来発生する債権の譲渡登記など出来るの?」といった素朴な疑問を尻目に、動産・債権譲渡登記制度が導入されることになった。「この工場の材料・半製品・製品全部」、「この店の商品・什器備品全部」といった動産譲渡登記や「この支店の明日から10年間の貸付債権・売掛債権全部」といった債権譲渡登記が認められるというのである。 東京商工会議所などの強い要請で導入された。オーバーローンで担保価値がなくなった不動産のピンチヒッターとして、動産や将来債権に目が付けられたのである。会社が倒産したら、会社の不動産、動産、債権全部が担保に入っていて、労働債権の確保が困難になるだけでなく、会社更生や会社再生も不可能になる事態が生じかねない。制度導入者の説明とは異なり、新たな融資はなく、オールドマネー(既存融資)の回収の手段に使われるのが落ちである。 労働組合は、労働債権の確保が一段と困難となると反対したが、強行導入された。市場原理主義に基づく規制緩和の一環とはいえ、利益追求の手段だけが整備されることに薄ら寒さを覚える。 |
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| 徳住 堅治 | ||||
■新破産法について |
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| 新破産法が05年1月に施行されました。大正時代に制定された旧法は、手続全体が厳格にすぎて迅速性に欠け、バブル崩壊後の破産事件件数の増加に十分対応できない、破産した個人の経済生活の再生の機会の確保が十分でない等の批判が出ていました。 そこで、新破産法では、迅速かつ公正に財産の清算ができるようにし(破産債権調査の簡素化・合理化、強制執行の一律禁止ができる包括的禁止命令等)、個人が破産した場合の再起を容易にする(自由財産の範囲の拡大等)、企業が破産した場合の労働債権の保護を図る等の見直しがされました。自由財産の範囲については、破産者が手元に残せる金銭を99万円としました。また、本来自由財産の対象とされない預金債権や自動車等についても自由財産拡張の裁判によって自由財産とすることが可能となります。 また、労働債権の保護の関係では、未払給料については破産手続開始前3ヶ月間に生じたもの、退職金については原則として退職前3ヶ月間の給料に相当する額をそれぞれ財団債権とし、租税債権等と同じように配当手続によらず破産管財人から弁済を受けられるようになりました。この関係で、従来批判のあった租税債権の財団債権としての範囲を納付期限から1年以内に限定したこと、破産手続開始決定後の労働組合等への債権者集会期日等の通知、破産管財人の労働組合等への情報提供努力義務等が重要となります。 |
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| 宮坂 浩 | ||||
■「外国為替証拠金取引」に手を出すな! |
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| 1.「外国為替証拠金取引」という言葉を聞いたことはありませんか?この取引は、1998年4月に「外国為替及び外国貿易法(いわゆる外為法)」の改正によって、外国為替取引が一般に可能になったことによって登場した賭博類似の性質を持った取引です。具体的には、ドルなどの外国通貨と円との間の売買における為替レートの変動に対応した売買利益と外国通貨間のスワップの金利差の得喪をも競う投機性の高い取引と言えます。しかも、この取引は、商品先物取引などと異なって、現時点では、取引自体を規制する法律も取引所も全く存在しない点と、業者と顧客との間の相対取引(業者が利益を得れば顧客が損失をこうむる取引)としてなされるという点に大きな特徴があります。 2.Aさん(主婦・55歳)は、平成16年2月上旬頃、上記のような外国為替証拠金取引(以下、本件取引といいます)を業とするB社の営業社員Xが自宅を訪問し、Xから、「この取引をすれば短期間ですぐもうかります。ほとんどの皆さんが500万円くらいもうけていますよ。100 万円を証拠金として預けてくれれば何倍にもしてお返しできます」などと言って本件取引をすすめられました。Aさんは、本件取引の仕組みについてはまったく理解できませんでしたが、Xが自信たっぷりの発言をしたため、すっかり信用し、B社との間で本件取引の契約を結び、預金をおろしてXに100万円渡しました。 3.Aさんは、その後、本件取引の危険性に気づいて取引をやめたいと言ったにもかかわらず、Xやその後交替したB社従業員のY・Zらの指示どおり次々とB社に証拠金を出させられ、気がついた時には、総額800万円もB社に出させられました。そこで、Aさんは、弁護士に依頼して、取引を決済したのち、B社を相手に、Xらの不法行為を理由とする損害賠償請求訴訟を裁判所に提起するに至ったのです。皆さんも、Aさんのような被害を受けないように、「世の中に楽をしてもうかるうまい話はない」と考えることが懸命です。 |
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| 清水 洋二 | ||||
〜法律相談〜 「架空請求」は放置に限る |
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| Q. 「未納料金お支払いのお願い」という葉書が来ました。「以前携帯電話・パソコン等で利用した有料番組サイト等の料金が未納」「支払や連絡なき場合は金融機関の全停止処分、ブラックリストヘの登録、給料差押の内容証明を勤務先に送付」とあります。このまま放っておいて大丈夫でしょうか? | ||||
| A. 実はこれ、私の自宅に届いた葉書。「弁護士に送るとはいい根性だな」と思ったものの、気持ち悪いわ、妻にはギワクの眼で見られるわで、散々でした。 これは、何かの名簿を入手した悪質業者が手当たり次第大量に送ったものですから、身に覚えがあろうと無かろうと(私はホントに無いですって!)、正当な請求ではありません。 「金融機関の全停止処分」なんか、常識で考えてできるはずない。脅し文句にひるまず、支払わずに放置することが、対応の基本です。電話して抗議したいところですが、それは向こうの思う壷。さらに電話番号などの個人情報を知られてしまいます。かといって、頭に来たから破り捨てるのも考えもの。業者から接触や要求があって警察に告訴などをするとき重要な証拠になります。 万が一悪質な取立てが来たら、ためらわず即座に警察に届け出を。私たちも相談に乗ります。 |
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| 山内 一浩 | ||||
■ぶらりらくちょう − 銀座の素敵なバー |
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| 私達の事務所がある有楽町1丁目から銀座の繁華街は歩いてすぐの距離にある。銀座、有楽町にはたくさんの有名なバーがあって、嬉しい限りである。暮れも押し迫ってくるとうきうきしてくる。 この間、妻と二人で久しぶりに、銀座6丁目の外堀通り沿いの銀座千代田ビル10階にあるバー「MORI」に行ってきた。マティー二の名人バーテンダー毛利さんのお店である。カウンター8名ほど、テーブル席に5名入れば満員のこじんまりとした店であるが、馴染みのお客さんが多い。お目当ては毛利さんその人とマティー二である。人柄とお店の雰囲気が何とも柔らかい。 実は、同じ外堀通り沿いの第5丸源ビル地下にあるバー「アクア」が本命で、そこで美味しいカクテルを頂こうと妻と勇んで行ったら、土曜日はお休みだったのである。季節の果物を使ったマスター得意のカクテルが飲みたくなる。 忙しくてなかなか行けないのが実際であるが、いつになったら、銀座のバーをゆっくりと楽しめる時が訪れるのか。マティー二とシングルモルトの波間に揺ら揺らと漂いたいものだなあ。 |
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| 棗 一郎 | ||||
■敗訴者負担法案が廃案となりました! |
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| 先の国会で“敗訴者負担法案”'が廃案となりました。同法案は、大企業等を相手にする裁判で、労働者や市民など、カの小さい側に大変な負担を強いるもので、私達も反対して参りました。皆様には多大なご協カをいただき、誠にありがとうございました。ここにお礼とご報告を致します。 | ||||
■退所のお知らせ |
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| 事務局の林共子さんが、昨年8月末で退所いたしました。 | ||||
| 昨年の9月、所内に「『9条の会』に賛同する旬報法律事務所の会」を設立し、併せて依頼者を中心に入会の呼びかけをしましたところ、多くの方々から入会の申込みがありました。本当に有難うございました。今年は、この会を更に大きくし、皆さんと一緒に憲法改悪阻止の闘いを強めたいと思います。(山口) | ||||
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