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2002年 夏季号 <Vol.33> |
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■冤罪の恐怖 |
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| 現在、日本の裁判所では起訴された案件のおよそ99.87%が有罪とされる。もっともこれは自白事件を含む数字ではある。しかし、弁護士仲間では、無罪判決の数と少なくとも同じか、あるいは倍くらい、無実の人が有罪判決を受けて終わっている事案があるのではないか、とまじめに議論がなされている。これで日本の司法は正常に機能していると言えるだろうか。 死刑や無期懲役の事件は、本人も再審請求をしたりする。しかし執行猶予が付いたり、罰金の事件だと、本人も悔しい思いを抱えながら諦めてしまう場合もある。最近は、満員電車で痴漢に間違われるという事件がふえている。裁判所が否認している以上、つかまえておく、罪を認めるまで出してやらない、という逮捕・勾留・保釈制度の運用をしているために、泣く泣く無実の罪を認め、釈放されるケースが後をたたない。裁判になっても、被害者の言葉は、「詳細・具体的で臨場感にとみ、あえて嘘をいう理由がない」などとして簡単に信用され、被告人の言葉は、いくら真剣に訴えても容易にとどかない。おまけに警察官が「私の前では罪を認めた」などと平然とウソをつくケースなどが報告されている。 簡単に人が罪に陥れられるようなイヤな社会になりつつあるのではないか。最高裁で、このような流れをふっ飛ばす判決を出させたい。 |
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| 今村 核 | |||||
■アメリカ追随の有事法制は廃案に! |
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| 政府は、2002年4月17日、有事法制関連三法案(武力攻撃事態法案、自衛隊法改正案、安全保障会議設置法改正案)を国会に提出した。小泉首相は、「備えあれば憂いなし」として有事法整備の必要性を強調するが、実際には、現在及び中長期的将来において、日本が外国から武カ攻撃をうける事態は想定できない。そのことは政府自身が認めている。ではなぜ今、有事法制なのか。今回の有事法制立法化の背景には、アメリカからの厳しい対日軍事協力要求があることは明らかである。 アメリカは、冷戦終結後の唯一の大国として、経済的・軍事的グロ一バル戦略を押し進めている。最近では、イラン・イラク・北朝鮮を「悪の枢軸」と決め付け、これらの国を屈服させるためには先制的軍事攻撃も辞さないことを宣言した。今回の有事法制は、アメリカの国際軍事戦略に便宜を与えるものであり、その最大の受益者はアメリカである。武力攻撃事態法案では、武カ攻撃が予測される段階で、自衛隊の武カ行使及び米軍への便宜供与が可能となる。米軍が北朝鮮を攻撃し、国内の米軍基地等への北朝鮮の反撃が予測されるという事態に至れば、日本はアメリカといっしょになって戦争をすることができるのである。このような法律が私たちにとって本当に必要なのか、私たちは真剣に考えてみる必要があるだろう。 日本を「戦争する国」にするのか、平和の中で人間が人間らしく生き、働くことのできる国にするのか。それは私たち自身が決めることである。 |
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| 今村 幸次郎 | |||||
■人権を抑圧する有事法制は廃案に! |
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| 第2次大戦が終わった後もアメリカは20回も戦争を行ってきた国ですが、今回の有事法案はそのアメリカが行う戦争に日本も参加しようとするものです。武力行使を禁止した憲法9条に違反することは明らかです。しかし有事法案はそれに止まらない怖さをもっています。何かと言いますと、日本に対する武力攻撃が「予測」されると内閣総理大臣が主観的に「認定」するだけで、内閣総理大臣は各省庁はもとより地方自治体、民間企業、店舗そして国民のすべてに対し、施設の管理(市民会館、自宅などの不動産を自衛隊に使用させよ)、物資の保管(米、ガソリンなどの生活必需品を売るな)、輸送(電車、バス、トラック、船、飛行機で武器・弾薬・兵員を輸送せよ)について「命令」できるというのです。しかも、市長、社長、従業員、店主、国民がこの命令に従わないと刑罰が課され、“戦争は反対”と言って拒否すれば逮捕されてしまうのです。 憲法は人権を絶対的に保障し、地方自治の独立を認めていますが、有事法案はそうした大事な権利や価値を奪い去り、軍事優先の仕組みを作ろうとするものです。小泉内閣はこのような恐るべき法案を国会で成立させようとしています。みなさん、平和・人権・福祉・地方自治を守るために有事法案に反対しましょう。 |
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| 島田 修一 | |||||
■続報・群馬司法書士会事件 | |||||
| 昨年の新年号で紹介した群馬司法書士会事件について最高裁の判断がこの四月に出された。群馬司法書士会が兵庫県司法書士会に阪神大震災で被災した市民向けの法的救援活動を支援する資金として3000万円を拠出し、会員からその資金を徴収することを総会で決議したことが会員の思想良心の自由を侵害するかが問われた事件である。一審の前橋地裁は原告勝訴、二審の東京高裁は会側の主張を全面的に認め会側の逆転勝訴となっていたが、最高裁・第一小法廷もこの高裁判決を是認する結論を下した。上告事件では全員一致で原告の主張は上告理由(憲法違反)にあたらないとして上告棄却を決定する一方、上告受理申立事件では法令解釈に関する重要な事項を含むとして受理決定をしたうえ、裁判官五名中三名の多数意見で上告棄却の判決を下した。多数意見は高裁の認定に従って拠出金の趣旨を「司法書士の業務の円滑な遂行による公的機能の回復に資することを目的とする」としたうえで、これを会の目的の範囲内とし、そのための負担金の徴収は会員の思想信条の自由を侵害しないし、会員に過大な負担を課するものでもないから適法とした。二名の反対意見は3000万円の金額が高額であることなどを理由に会の目的の範囲外とした。今回の最高裁判決は司法書士会が社会的な責務をどこまで果たし得るのかについて一定の指針を示したものとしてその意義は大きい。 | |||||
| 大熊 政一 | |||||
■ヤコブ病訴訟 | |||||
| 2002年3月25日、昼、厚労省講堂で確認書が調印され、そして夕方には大津と東京の裁判所で同時に和解が締結され、薬害ヤコブ病訴訟が解決の第一歩を踏み出しました。 国は最後まで、第一症例以前(87年)の責任はないと主張していましたが、坂ロカ厚労大臣は、確認書調印の際に、原告らに対して、1973年の医療用具としてのライオデュラ輸入承認に触れ、それが原因で本件が起きたことを認め、「心からのお詫びを幾重に申し上げてもなお言い尽くせない」「医療用具の許認可、承認の体制が不十分であったこと、さらに諸外国の活動状況や新しい研究成果などに対する掌握が足りなかったことなどを反省」と明確に謝罪しました。確認書の内容も、@国内の研究班の論文や諸外国の研究成果を見過ごしたことがこの被害につながったことを踏まえて、「情報収集体制の拡充強化」や、「情報公開の推進」「積極的な活用」を盛り込み、A薬害の再発を防ぐために医学生らへの教育に努めること、B生物由来製品の被害に対する救済制度を創設すること、Cサポートネットワークヘの支援等、これまでの薬害事件の中でも最高峰の内容となっています。 このような勝利を勝ち取れたのは、なんといっても座り込みや署名を始め、様々な形でのみなさんの支援です。この場を借りてお礼申し上げます。原告団・弁護団は、今後とも皆さんと共に確認書内容が守られ、薬害が二度と起きないよう活動していきたいと思っています。 |
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| 森 真子 | |||||
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■恵一郎さん〜清水恵一郎弁護士を悼む〜 |
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| 事務所の清水恵一郎弁護士が4月に亡くなった。数年前、喉を患ったが、回復し、事務所のパソコン化等に多大な貢献をされた。昨年春頃から、体調を崩され、日本医科大病院に入院、脳腫瘍で手術を受け、治療を重ねたが、ご家族の懸命な看病の甲斐もなく、帰らぬ人となった。59歳、余りにも若すぎる。 彼が前橋で修習していた頃、私も同期の新人弁護士達と一緒に安中公害問題に取り組み、知り合った。2年後の昭和46年、当時の労働旬報法律事務所に入所。裁判官再任・新任拒否、これに抗議した坂口修習生罷免等司法反動反対の運動や全金プリンス等の労働事件も一緒に取り組んだ。その後、旬報事務所となり、洋二先生、勉(べん)ちゃんと合わせて清水弁護士は3人となったこともあり、「恵一郎さん」と親しまれた。父親の薫陶か機械や技術に詳しく、当時はまだ珍しかったコンピューター技術者の集まりの日本ソフトウェアや中央競馬会、農業損害の立証が困難な安中公害裁判、国労の不当労働行為事件等でその力量を遺憾なく発揮された。地域の方や依頼者、後輩達は勿論、同僚、先輩にも大変親切で、よく相談にものってくれた。その説明は、基本のところから解きあかしてくれ、判りやすい等評価も高かった。恵一郎さんが余りに早く、病に倒れたため、彼より前の期の私や仲田先生達は皆、最近の技術革新に追いつけず、現在も「悪戦」苦闘している。謹んで恵一郎さんのご冥福を祈ります。合掌。慟哭。 |
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| 岡田 克彦 | |||||
■「出産後に肝炎」これは薬害だ! |
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| 出産後、黄疸が出、医者から「あなたは肝炎になっています」と言われたら?そして、その肝炎が慢性化して「治らない」と言われたら?さらに、「10年後、20年後には、肝硬変や肝ガンになります」と言われたら?あなたはいったいどう思いますか? かつて、出産時の出血を止めるために「フィブリノゲン」という血液製剤が投与されていた時期がありました。ところが、フィブリノゲンは多数の供血者の血液を原料としているため、供血者の持っていた肝炎ウィルスが高い確率で混入してしまっていたのです。その結果、フィブリノゲンを投与された患者さんの多くが肝炎に感染してしまいました。 問題なのは、この血液製剤が、本来は、先天的にフィブリノゲンの欠乏している患者さんのための薬であり、止血剤ではなかったということです。血液製剤によって高い確率で危険な肝炎に感染してしまうことはわかっていたのですから、できるだけ「使わない」とすべきでした。しかし、製造元の製薬会社は、止血剤としての用途を宣伝し、広汎に販売しましたし、国もこれを規制しませんでした。 まさに製薬会社の営利追求と国の無策がもたらした「薬害」と言ってよいでしょう。この「薬害」の被害者を早期に救済するシステム作りが望まれます。 |
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| 石井 麦生 | |||||
■『中国のハワイ』海南島でかつて日本が行なったこと |
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| 海南島はベトナムの真東に位置し、中国が今『中国の八ワイ』として国を挙げて開発しているリゾート地です。今こそ華やかな観光スポットですが、かつては、太平洋戦争の舞台しかも日本軍の「慰安所」が60箇所以上も設置されたところでありました。 私は今回、昨年7月に提訴した「海南島従軍慰安婦名誉回復訴訟」の弁護団の一員として現地に出向き、「慰安婦」体験を語る原告の聞き取り役となりました。年老いた原告の口から、涙ながらに語られる、昼夜問わず何人もの日本兵に強姦され、いわば単なる性的欲求処理の道具であったとの生々しい体験は想像を絶するものでした。 また、ある原告からは、当時服用させられた避妊薬の副作用で子供を産めない体となり、自分自身も辛いうえに、周囲ばかりか夫からも、「お前が日本兵の女だったからだ」と非難され、さらに苦しめられたそうです。原告の誰もが、今もなお当時の強姦の模様を夢に見てうなされ続けています(いわゆるPTSDです)、戦後半世紀以上もの時が経過し、現地が様変わりする一方で、原告は過去に加え、現在進行形の被害を被っているとの認識を新たにしました。 |
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| 圷 由美子 | |||||
〜法律相談〜 療養看護と寄与分について |
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| Q. 最近父が亡くなりました。相続人は兄と私の二人です。母没後、痴呆の父の世話は妻が勤めを辞め、10年間父の療養看護に専念しました。勿論無給です。兄と遺産相続のことで話し合っていますが、兄は法律上平等分割だから2分の1宛分割すべきと言っていますが、それでは却って不平等ではないかと思います。法律上はどうなっていますか。遺言書はありません。 | |||||
| A. 遺産分割は遺産の種類、相続人の年令、職業、生活状況その他一切の事情を考慮してすることとなっております(民法906条)。実務として従来から特別寄与者に寄与分を認めて来ましたが昭和55年の法改正で寄与分が法制化され、共同相続人の中に「被相続人の事業への労務提供、財産上の給付、療養看護その他の方法で「財産の維持増加に「特別寄与」をしたものに寄与分が認められることになりました(民法904条の2)。 ご質問の件、貴方自身でないとしても奥さんが勤めを辞め無給で療養看護に専念したという事ですから夫婦一体の療養看護として責方に寄与分を認めて然るべきと思います(反対説もあります)。そのことを主張して協議したら如何でしょう。協議不成立でしたら家庭裁判所に寄与分を定める審判申立をして下さい。遺産分割調停を伴うので併行して調停手続の中でやるのが通例です。裁判所は寄与の時期、方法、程度、財産(遺産)の額その他の事情を考慮して寄与分を定めます。療養看護による寄与の場合、痴呆療養中の介抱介護、世話をし、その程度が親族間で普通期待される以上であること、それにより被相続人が入院、付添人費用の支出を免れたとか、或いは介護が長期問に亘っている、もしくは多額の入院費用、介護費用を支出し被相続人の財産維持に貢献した場合は特別寄与といえます。額については財産額、実際負担した額、付添、看護人の報酬基準、療養介護のため退職したことによる給料損失額等が考慮されます。その他療養看護全体を評価して定められる場合もあります。 |
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| 久保田 昭夫 | |||||
■ぶらりらくちょう −マ・ヴィ− |
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| 泰明小学校の向いの露路を一寸と入ったビルの1階。シャンソンのライブを聴かせる小屋である。20人も入れば満席だろうか。1ステージに数人の唄い手が1、2曲づつ唄う。歌謡曲あり、ミュージカルあり、みんなの歌あり、様々。シャンソンといえば恋だが、それに限らない。 大統領殿お暇があれば読んで欲しいこの手紙を/僕は今戦場へ行く徴兵カードをもらったところ/僕は嫌だ闘いたくない、哀れな人を殺したくない/僕は逃げる武器は持っていない、憲兵達よ撃つがいい、と反戦フォークが唄った「拝啓大統領殿」も元はシャンソン。 店主は日高なみ、久しぶりに聴いた印象は、“似てきた、越路吹雪に” 私のお気に入りは某唄う「トルコ行進曲」。 |
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| 鴨田 哲郎 | |||||
■旬報セミナー〜「相続と遺言」大好評でした〜 |
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| 毎年恒例となった旬報法律セミナーが、2月2日、有楽町マリオンで行なわれました。テーマは「相続と遺言」で78名の参加者で会場はほぼ満員となりました。講師は徳住堅治弁護士で、実際に担当した事件での例を紹介しながら講演しました。「相続開始してまず行なうべきこと」「亡くなった人の借金からどう逃れるか」「自筆証書遺言と公正証書遺言のメリットデメリット」「具体的な遺言の書き方」など、実戦的なテーマについて対処の仕方を具体的に説明しました。また、講演の後、税理士の先生も交えて約1時間質問コーナーをもうけ、税務問題も含めて参加者からの質問に答えました。参加者からは、「生活に直接関連した間題で大変参考になりました」「非常に分かりやすかった」などの感想文が寄せられ、大変好評でした。来年も身近なテーマでセミナーを開催する予定ですので、まだ未参加の方は奮ってご参加の程お待ち致します。 | |||||
| 野澤 裕昭 | |||||
| 磨き抜かれた技と技のぶつかりあい、フェアーな戦いに感動を覚えた日韓ワールドカップ。他方で、政治の世界では、ルール破りの戦争法づくりが進められています。 ワールドカップの感動がさめないうちにこのような法律は廃案に追い込みたいものです。(林) |
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